ブログジャック番外編:スペインの生ハムについて by オーナー夫

こんにちは!そしてこちらにいると忘れてしまうのですが、昨日より日本は新年度でしたね。入学、進級、留年、入社、異動、引退など、色々な人生の過渡期であったのではないかと思います。バルセロナより心を込めて!おめでとうございます!そして皆様のさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。

さて、前回「なぜバルセロナに移住したか」パート1を投稿しました。その反響が。。。

あまりなかったですね。汗

なので、とりあえず今回は一旦休息ということで、私の大好きな、そして移住のきっかけ(?)にもなった、生ハムについて書きたいと思います!誰がそんなことに興味を持つんだって感じですが、一言ハムといっても結構奥が深いので、少しでもご興味とお時間と忍耐力のある方は、最後までお付き合いください!笑

      

スペイン産ハムと聞くと、まず皆様が思い浮かべるのは、あるいは聞いたことがあるのはハモン・セラーノではないしょうか?日本ではこれがあたかも高級品の様に出回っている印象です。しかし、騙されないでください!スペインではセラーノは安物のハムとして、基本サンドイッチに挟むとか、何かと一緒に炒める様な使い方をするハムです。そして、高級で美味しいとされているのが、日本でもお馴染みのイベリコ豚を使った、ハモン・イベリコです。ハモン・イベリコの中にも色々グレードがあるので、深く掘り下げていきましょう。

ハモン・セラーノとは一般的な白豚から作られるもので、蹄が白い、これが最も簡単な見分け方です。味もイベリコ豚を使ったものに比べると格段に落ちます。

反対にイベリコ豚ですが、これは実は品種の名前で、スペイン原種の黒豚なのです。この豚で作ったハムがハモン・イベリコなのです。黒豚だけに蹄も黒いので、セラーノとはすぐに見分けがつきます。味もセラーノに比べるお格段に美味しく、脂の質、香りが全然違うのが分かります。ただ、一般的にハモンとは後ろ脚のことを指し、前脚で作ったハムはパレッタと呼ばれます。パレッタの方が脂が多く、パンチが強いと言われてますが、個人的には少ししょっぱくて旨味が少ないイメージです。ハモンの方が反対に、脂が程よく、旨味が強く、あまり塩気が少ないのでマグロのトロの様な味わいがあります。個人的には圧倒的にハモン派です。そして市場でも同じ豚のハモンとパレッタでは、ハモンの方が倍くらい高値で取引されます。これもハモンの方が一般的には美味しいとされているということでしょう。

これらハムの味に一番影響を与えるのが、そう、餌です。イベリコ・ベジョータというハムの名前を聞いたことはないでしょうか?ベジョータというのはスペイン語で「どんぐり」のことです。どんぐりのみで育った豚で作ったハムは、イベリコ・ベジョータと呼ばれます。もちろんどんぐりは自然になっているものなので、豚は外で放牧されストレスなく育ちます。確かイベリコ・ベジョータという名で出荷するにあたり、1ヘクタールあたり何匹までしか放してはいけないという厳格な規定まであったかと思います。

逆に例えば半分をどんぐり、半分を飼料で育った豚はイベリコ・レセーボと呼ばれ、完全に飼料のみで餌付けされ小屋で育った豚はセーボと呼ばれます。

ただ、ドングリも一年中その辺に落ちているわけではなく、基本秋にしか食べられないので、それ以外の季節は、イベリコ・ベジョータ用の豚にも実際は飼料をあげるようです。ただ、出荷前の秋にはまた100%ドングリの餌に戻して、豚の体中にどんぐりの旨味を巡らせてから出荷するのです。

想像に難くないですが、当然イベリコ・ベジョータ、そして後脚のものが最も美味しく、最も高値で取引されます。脂の成分がほとんどオリーブオイルと同等と言われ、脂の融点が低いので、手のひらに乗せるだけで脂が溶けます。食べると、口に入れた瞬間その脂が溶け口いっぱいに広がり、なんとも言えない美味しさなのです。どんぐりからくる脂なので、非常にあっさりしていて、いくらでも食べられてしまいます。

      

スペインだと、100g20ユーロ強で売っていますが、日本だとデパ地下2倍以上の値段で売っていますね。これだとなかなか手が出にくいこともあり、私は日本では割安な脚丸ごと一本を買っていたのです。笑 ただ、丸ごと一本買ってしまうとカットが非常に難しく、プロはものすごく薄く切るのですが、私の場合少年ジャンプくらいの厚さになってしまってましたね。苦笑

余談ですが、丸一本買った時は保存方法が大変です。徐々に表面を削って食べていくのですが、その日の分を食べ終えたら、オリーブオイルを塗ってラップするか、切り取って保存しておいた脂の塊でもう一度表面を蓋をして、乾燥を防がなくてはいけません。やはり個人だと全部食べ切るのに、少なくても3、4カ月かかると思うのですが、専門家に聞いたところ2週間で食べ切るのがベストとのこと。なので美味しく食べ切るにはハムパをやりまくるしかないのです。

餌以外にも、熟成期間も大事になるのですが、基本は24カ月倉庫で熟成させて出荷します。長いものだと36カ月、最近は60カ月なんてものも(ウイスキーか!)見るようになりました。

実はこのハムの美味しさの原点が知りたくて、2018年11月には妻や息子を説得して、家族旅行でスペイン南部のJabugoという街まで行き、イベリコ豚牧場及びハム工場を見学し、実際豚と触れ合ったり、製造過程を見たり、食べ比べなどするなど貴重な経験をさせてもらいました。新しい発見がたくさんあり、へ〜ボタン連発(古い?)、目から鱗でした。

マニアックすぎる話ですが、ちなみにJabugoはExtremaduraと並ぶスペイン内ハムの二大生産地で、前者はよりパンチが強く、後者はより甘いとされています。私はJabugo派です。

え?脚以外の部分はどうするの?って。鋭い質問ですね!他の部分もいわゆるハムみたいに塩漬けにして加工したり、あるいはそのまま生肉として販売します。ただ、いわゆるイベリコ・ベジョータ(どんぐり100%)の生肉は生産地以外にあまり出回らないらしく、現地で食べたロースのステーキが驚くくらい美味しかったな〜。しかもスペインは良い豚肉は品質管理が厳格で安心らしく、豚ステーキもレアで食べたりするんですよね。

と、あまりにもマニアックなことを淡々と書いてしまい、おそらくここまで見ていただいた方は、please stand up(Eminem風)。きっと一人か二人だと想像します。苦笑 

でも、そんなあなたは今後より美味しくハムを召し上がっていただけるのではないかと思います!

更にもっとハムについて知りたい方は、ここをクリック。

↑を押そうした方はもう立派なハム・アディクトですね!これもフェイク・ボタンでした。笑

 

次こそは「なぜ移住したかシリーズPart 2」をお送りします。乞うご期待!

 

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1件のコメント

とても興味深かったです!ハブゴのハムは日本では全く手に入らなそうです…スペイン料理についての更新も楽しみにしています!

patata

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